リトル・クイーン

2021年02月11日

①基本情報

1)タイトル LITTLE QUEEN(リトル・クイーン)
2)プロデューサー マイク・フリッカー
3)リリース年   1977年
4)セールス順位  全米9位

②曲目

1)バラクーダ
2)愛を大切に
3)森の歌
4)狩人の夢
5)キック・イット・アウト
6)リトル・クイーン
7)やさしくして
8)セイ・ハロー
9)クライ・トー・ミー
10)ゴー・オン・クライ

③アルバム全体的な事

この「リトル・クイーン」はハートにとっての出世作であり、70年代ハートの代表作でもあります。

この時期のハートの音楽性の特徴はなんであろうか?
それは、動と静のコントラストがしっかりしていることでしょう。
サウンド的には、とても女性中心とは思えない、下手な男ではできないような、ゼップ直伝のハードロックサウンド。
また、アコースティックバラードは女性らしい、繊細でリリカルさやマイルドさがあります。
動と静の部分を交互に出しながらも、アルバムのコンセプトがしっかりしているため、散漫にならず、統一感があります。

また、ハートの初期のアルバムは自然情景が頭に浮かんできます。デビュー作の「ドリームボート・アニー」は夕暮れの海岸を連想させますが、「リトル・クイーン」は森と湖を連想させます。
まさにウィイソン姉妹は森と湖の妖精であったでしょう。

④曲紹介

1)バラクーダ
まさに、ハートを代表するハード・ロックナンバー。
現在のハートのライブでも、必ずといっていいほど演奏されます。
この曲があるからこそ、ハートはハード・ロックバンドと言えます。
イントロの印象的なギターリフや叩きつけるようなドラミング。曲の中盤の間奏でのドラム・ソロやギター・ソロなどハードロックの要素満載です。
今聴いてもゾクゾクします。

ちなみに、シングルカットされて、全米11位をマークしました。

歌詞にはどのような意味があるのでしょうか?バラクーダは獰猛で人襲うこともある、体長1・5メートルもある魚であるオニカマスのことです。
粗野で女性を乱暴に扱う男のことを歌っていたのでしょうか?
しかし、歌詞の中盤で、「あなたが売ってるのは歌」という下りがありますので、音楽業界の男達、すなわちセクハラまがいの売り方をした、マッシュルーム・レコードへのあてつけだとわかります。

2)愛を大切に
アコースティック・ギターのイントロから、アンのヴォーカルが入り、徐々に曲が盛り上がり、最後は重厚なリズム・セクションが入る曲。
まさにハートの動と静を両立した曲。
keep my loveのリフレインのアンの歌いまわしが、ポール・ロジャースと似ていると感じるのは私だけでしょうか?

3)森の歌
マンドリンがメインのインスト・ナンバー。この曲からも生楽器へこだわりが感じさせます。

4)狩人の夢
前曲からブランクなしで始まる、アコーススティック・バラードナンバー。
アンのヴォーカルが時には激しく、時には優しくという感じで、アンのヴォーカルの上手さがわかります。
狩人の夢、なんとロマンティックな響きでしょうか。

5)キック・イット・アウト
アップテンポでストレートなロックンロールナンバー。シングルカットされ、全米79位となりました。
ウィルソン姉妹による曲解説において、小さい町にうんざりして、とにかくロックしなきゃとと思っている少女のことを歌ったとのこと。
それを反映して、歌詞も少しアバズレていて下品です。

6)リトル・クイーン
アコースティック・ギターのイントロが印象的なミドル・テンポのロックナンバー。ズンドコと重たいリズムセクションとギターの繊細さの対比という、このころのハートの音楽的な特徴がでています。
ちなみに、シングルカットされ、全米62位となりました。

7)やさしくして
アコースティック・ギターの演奏と重厚なリズムセクションのナンバー。
全体を覆うストリングスがブリティッシュからの影響を感じさせます。

8)セイ・ハロー
カプリソやハワイヤンを連想させるポップナンバー。

9)クライ・トー・ミー
アコースティック・ギターをバックに、アンが切々と歌うナンバー。
これを聴くと、アンのヴォーカルの良さがわかります。

10)ゴー・オン・クライ
幻想的なインスト・ナンバー。プログレからの影響を感じさせます。

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